職人の想い(ブログ)
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先日テレビ東京の番組「ソロモン流」にて
左官職人の久住有生 (くすみ・なおき) さんという方が
賢人として特集されていたのを拝見し、
その拘りや仕事ぶりに非常に感銘を受けました。
その中で彼が、ご自身で仕上げた仕事を見て、
笑いながら仰ったひと言
「100年200年もってもらわなきゃ困るよね」
私は職人として実績や知名度など、
彼の領域にはとうてい及ばないかもしれませんが、
考えていることは全く一緒です。
本年もよろしくお願い申し上げます。
2012年がスタート致しました。
私自身が感じる限りですが、この冬は一段と寒さが厳しいように思います。
それでも外で仕事をしていて、昨年12月の頃に比べても、
日中の明るい時間帯が日に日に長くなっていくのを感じます。
毎日寒い日が続きますが、季節は確実に暖かい「春」に向かっているんですね。
年は変わりましたが私は従来と何ら変わりなく、
お客様の立場にたって「ありがとう」と仰っていただける様な仕事を続けていきます。
本年も入倉石材工業所をどうぞよろしくお願い申し上げます。
今年もありがとうございました。
あとわずかで2011年も終わりを告げようとしております。
この場をおかりしまして、
あらためて東北地方太平洋沖地震、および各地を震源とする地震により被災されたみなさまに、心からお見舞い申し上げます。
被災地の惨状、被災者の皆様の苦労を考えるにつけて、
とりたてて大した事もして差し上げられない自分の存在の小ささを痛感することしきりですが、
年が変わりましても、できる限りの事を行っていく所存です。
これからも入倉石材工業所をよろしくお願いします。
どうぞ皆様、善いお年をお迎えください。
合口(あいくち)
お墓の外柵(囲い)を施工させていただく場合、
製品そのものの仕上がりや加工精度が第一なのは言うまでもありません。
しかし現場での施工がいいかげんな手抜き工事であれば、
せっかくのお墓も台無しになってしまいます。
当店では加工精度と同じかそれ以上に現場での据付施工に強い拘りをもっております。
石と石の接合部分、繋ぎ目の部分を
我々は「合口(あいくち)」と呼びます。
お墓の囲い部分はいくつもの石を積み上げて、繋ぎ合せて作り上げていきますから、
この合口部分が非常に重要な役割を果たします。
画像で御覧になっていただけるのが、当店の合口加工です
部材よって様式を変える必要がありますが、
この画像は腰石という幅が約15cm(5寸)のものです。
互いの接合部にあたる平面を、ダイヤモンドカッターで斜めにテーパー状に切り込みを入れ、
内部をあえてノミで荒らして、コンクリートの吸着力を向上させます。
さらにカッターとハンマードリルを用いて、
天端部分に幅13mmのカスガイをはめ込む様に加工いたします。
テーパー状の空間にはモルタル改質接着剤を配合した
トロ状のセメントを流し込み、養生させて完了です。
この様な手間のかかる合口加工をせず、
平らなままの接合部に接着剤を塗りたくって
そのままベタっと貼り付けて施工する業者さんが非常に多くなりました。
確かに手間を省いてコストを削減し、
安価な価格で仕事をこなすのもひとつの方法かもしれません。
しかし私が把握している限りですが、
現状における一般的な石材用ボンドは通常で10年、
施工が悪ければ5年程度が寿命だと言われております。
しかしこうしたステンレスアンカー等の細工を加えた物理的な施工は、
石そのものの寿命に匹敵するとさえ言われております。
お墓の囲いの部分は墓石の接合部分と違い、
内部の盛土部分から横方向の圧力を絶えず受けてます。
寿命と言われている10年が経過したら、
いったい何が石を支えているのだろう・・・・と思うと、
とても真似をする気にはなれません。
私はたとえ貧乏してでも、まだまだ手間隙かけた仕事を続けていきます。
お客様にとってお墓を作るという事は、
最低でも50年から100年のプロジェクトであってほしいですから。
スタイリスト
「菊作り 花見る時は 影の人」
日本の小説家 故・吉川英治先生の有名な俳句です。
工事が完了し開眼供養等で
お施主様をはじめ皆様がお参りされている光景を、
少し離れたところから見ていると、
必ずと言っていいほど思い浮かぶ言葉です。
「良い仕事を・・・」
それは私自身もお施主様の想いと同然です。
そして丹精こめて作ったお墓を、お施主様にお渡しします。
決して表立って自慢をしたり、苦労話を語ってはいけない。
ただただ、皆様に喜んでいただいているのを影で見て、
ひそかに自分の喜びとします。
なぜなら、主役はあくまで「石」。
私どもは裏方で、その意匠家みたいなものなのですから。